偕楽園とデジタルアート

teamLab, 2021, Interactive Digital Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi
撮影:編集部
偕楽園は、茨城県水戸市にある国の史跡及び名勝に指定された江戸後期(1842年)の借景式庭園。兼六園(金沢)、後楽園(岡山)とならぶ「日本三名園」のひとつで、今年開園180年を迎えます。庭園には約100品種、3,000本の梅が植えられ、梅の名所として広く知られています。様々な品種があるため、「早咲き」「中咲き」「遅咲き」と長期間にわたり梅を楽しむことができます。

teamLab, 2021, Digitized Nature, Sound: Hideaki Takahashi
撮影:編集部
「チームラボ 偕楽園 光の祭」は偕楽園の広大な敷地内の自然が、インタラクティブな光のアートとして彩られるもの。デジタルアートと自然と聞くと、なんだか相反するようにも思いますが、非物質的であるデジタルテクノロジーにより、自然を破壊することなく「自然そのものが自然のまま」アートになっているのが特徴です。本展はチームラボの「Digitized Nature」というアートプロジェクトの一環でもあります。
人間は自分の人生より長い時間を認知できないのではないか、つまり、長い時間の連続性に対する認知の境界があるのではないかと、チームラボは考えています。
チームラボのプレスリリースより
長い年月をかけて自然がつくる形や、長く続いてきた人と自然との営みによる造形、その形こそが、長い時間を知覚できる形そのものであると考え、それらを使うことで、長い時間の連続性に対する認知の境界に対する模索をしたいと思っています。

teamLab, 2021, Interactive Digital Nature, Sound: Hideaki Takahashi
撮影:編集部
チームラボ 偕楽園 光の祭 2022 会場レポート
編集部では開幕に先だって1月31日に行われた報道内覧会を水戸・偕楽園に取材してきました。偕楽園の広大な敷地自体を一つの巨大なアート作品として表現している本展。その作品の一部をご紹介します。
庭園内は未舗装の場所や階段や段差がありますので、足元にはご注意を。
光の向こう側に手を入れられる新作

teamLab, 2022, Digital Installation, Sound: teamLab
撮影:編集部
順路の中盤頃に登場する《我々の中にある火花 / Solidified Sparks》は、本展で初公開となるチームラボの新作。まるで空中に浮かぶ線香花火のような無数の光の集合体に手をかざすと、「光の裏側」、つまり作品の中に手が入る形になります。線の集合体には境界面がなく、作品と身体との境界の認識は曖昧です。

teamLab, 2022, Digital Installation, Sound: teamLab
撮影:編集部
群生する光の線の集合体。
光の線は、中心から放射状に無数に広がる。光源は動かないが、無数の線はうごめき続ける。
線の集合体には境界面がなく、作品と身体との境界の認識は曖昧であり、手をかざすと、手は作品の中に入る。うごめいているものは、何か?
プレスリリースより
我々の世界は、我々の中にあるのだ。
自立しつつも呼応する生命と呼応する大杉森

teamLab, 2021, Interactive Digital Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi
撮影:編集部
光のovid(卵形体)が人に押されたり、風に揺らめくことで色と音色を、周辺のovidとや木々に伝播させて行きます。また、木々の奥から押し寄せてくる光は、向こうに人がいることを意味し、来場者自身もアートを構成する一部となります。
Walk, Walk, Walk – 孟宗竹林

teamLab, 2021, Digital Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi, Voices: Yutaka Fukuoka, Yumiko Tanaka
撮影:編集部
偕楽園の孟宗竹林(もうそうちくりん)沿いを、匿名で多様な肖像群が歩き続けるという作品です。リアルタイムで描画されており、今この瞬間の絵は二度と見ることができません。来場者はこの行列とともに竹林を進んでいきます。

teamLab, 2021, Digital Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi, Voices: Yutaka Fukuoka, Yumiko Tanaka
撮影:編集部
生命は連続する光 – 梅林

teamLab, 2021, Interactive Digitized Nature, Sound: teamLab
撮影:編集部
好文亭の目の前に広がる梅林。約1,500本もの梅が光り輝くという圧巻の作品。梅の光はそれぞれ自立していて、ゆっくりと明滅し、人が近くを通ることで反応します。明滅する梅の光が照らす園内をさまようように歩くと、写真や動画では表しきれない、まるで夢の中にいるような体験を味わえます。
120年の歴史をもつ「水戸の梅まつり」。偕楽園には約100品種、3,000本の梅が植えられている。
好文亭の目の前に広がる梅林の約1,500本の梅が光り輝く。梅の光はそれぞれ自律しており、ゆっくりと明滅している。梅の光は、人々が近くを通ると強く輝き、音色を響かせる。そして、その木の光は放射状に梅の木に伝播し、音色を響かせながら、連続していく。梅林の奥の方から光が押し寄せてくれば、向こうに人がいることを意味する。人々はきっと、同じ空間にいる他の人々の存在を普段より意識するだろう。
梅の光は、人々が近くを通ると強く輝き、音色を響かせる。そして、その木の光は放射状に梅の木に伝播し、音色を響かせながら、連続していく。梅林の奥の方から光が押し寄せてくれば、向こうに人がいることを意味する。人々はきっと、同じ空間にいる他の人々の存在を普段より意識するだろう。
チームラボ プレスリリース

teamLab, 2021, Interactive Digitized Nature, Sound: teamLab
撮影:編集部
増殖する生命の巨木 – 太郎杉

teamLab, 2021, Digitized Nature, Sound: Hideaki Takahashi
撮影:編集部
樹高約35m、根本の周囲約17.2m、樹齢約800年と言われる巨木に、花々が永遠に咲いては散っていきます。作品は、コンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けており、あらかじめ記録された映像を再生しているわけではなく、今この瞬間の絵は二度と見ることができません。

teamLab, 2021, Digitized Nature, Sound: Hideaki Takahashi
撮影:編集部
江戸後期(1842年)に造られた偕楽園の大杉森。この巨木は造園よりもはるかに前にここにあった木です。この作品をはじめ本展を通じて、はるか昔から現在まで連続してつながる時間の流れというものを体感することができます。
開催概要

teamLab, 2021, Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi
撮影:編集部
- 展覧会名:チームラボ 偕楽園 光の祭 2022
kairakuen.teamlab.art
#チームラボ偕楽園光の祭 #DigitizedKairakuenGarden - 会期: 2022年2月1日(火)~2022年3月31日(木)
- 時間: 18:00~20:30 (最終入場20:00)
- 会場: 偕楽園(茨城県水戸市常磐町1丁目)
チケット情報:
- 大人: 1,800円 (税込)、中高校生: 800円(税込)、小学生以下: 無料
- 公式チケットサイト: https://exhibition.teamlabticket.com/kairakuen/#/
アクセス
<車で>
- 常磐自動車道 水戸I.Cより約20分
- 北関東自動車道 茨城町東I.Cより約20分
- 北関東自動車道 水戸南I.Cより約20分
- ※梅まつり期間中は、駐車場及び周辺の道路が大変混雑しますので、公共交通機関をご利用ください。
<電車で>
- JR常磐線 水戸駅北口より偕楽園行きバスで約20分
<バスで>
- 「偕楽園東門」停留所降車→東門まで徒歩約3分
- 「偕楽園前」停留所降車→東門まで徒歩約3分
「- 偕楽園」停留所(終点)降車→東門まで徒歩約5分
「- 千波湖」停留所降車→東門まで徒歩約10分
展覧会公式サイト
最新の情報等につきましては公式サイトを必ずご確認ください。
リソース
- 取材ご協力:チームラボさま
- 記事中の写真は報道内覧会にて編集部が撮影